先日、公園に立ち寄った時のこと。子供のお守りをしていた老人が声を掛けながら近づいてきた。時刻でも知りたいのかと思ったら、僕がゴミを捨てたのを咎めるためだった。「今ゴミを捨てましたよね」「いえ、捨ててません」「でも今捨てましたよね」「捨ててません」――ゴミは落ちていなかった。老人の思い違いだったのである。間違いだとわかると、老人は「捨ててないならいいんですけどね」とのたまった。自らの非を認めようとしない老人の態度に失望した。
十年以上前の話。書店から出たところに老人が声を掛けてきた。「それ金払ってないだろ」「いえ、払いました」「でも違う店の名前が書いてあるじゃないか」「払いました」――その袋はナツメ社の販促用だったのである。間違いだとわかると、老人は「それならいいや」とのたまった。ナツメ社の知名度の低さに絶望した。